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■ガタルカナル島攻防戦の分水嶺■

ソロモン海戦

第三次ソロモン海戦 (1942.11.12−14)

海戦の経緯
 10月末に発生した南太平洋海戦により、南太平洋に派遣されていた全ての米軍空母が沈没するか傷付き行動不能となったことを確信した連合艦隊司令部は、近藤中将の第2艦隊に対してガタルカナル島(ガ島)への輸送船団突入の最後の障害であるガ島ヘンダーソン飛行場の艦砲射撃による制圧を命じた。
 これに対して米軍は、日本軍の総戦力とこれまでに与えた損害から、ここが最後の正念場と考え、ニューカレドニアで修理中だった空母エンタープライズを航海中に修理を継続させる無理を冒して出撃させると同時に、本来の空母護衛任務を失っていた、護衛艦艇をかき集めて水上戦部隊としてガ島へ派遣した。
第三次ソロモン海戦 第1次夜戦
 11月12日深夜 巡洋戦艦「比叡」「霧島」を主力とする挺身攻撃隊は、サボ島南方で警戒していた米軍巡洋艦部隊と遭遇し交戦を開始した。夜間戦闘の混乱により、この戦いは、両軍艦隊が約1000mの至近距離まで近付き、米軍では同士討ちまでが発生する乱戦に発展したが、夜戦巧者の日本軍は、米軍艦隊を指揮していたキャラガン、スコット両提督を戦死させ、軽巡洋艦2隻、駆逐艦4隻を撃沈、その他艦艇も駆逐艦1隻を残して全艦が損傷する大損害を米軍艦隊に与えた。
 しかし、日本軍も飛行場砲撃を失敗したばかりでなく、巡洋戦艦「比叡」が集中砲火を受けたため操舵不能となり、翌日に空母エンタープライズ艦載機の追撃を受け損傷が拡大したため放棄され沈没した。太平洋戦争初めての日本戦艦喪失である。
第一次夜戦戦闘序列とその結果
●挺身攻撃隊 阿部弘毅中将
【本隊】
○第十一戦隊(11S)
戦艦 比叡(金剛級) 大破(自沈)
霧島(金剛級)
○第十戦隊(10S)
軽巡 長良(長良級)
・第十六駆逐隊(16dg)
駆逐艦 天津風(甲型:陽炎級) 小破
雪風(甲型:陽炎級)
○第六駆逐隊(6dg)
駆逐艦 暁(特型:暁級) 沈没
雷(特型:暁級) 小破
電(特型:暁級)
○第六一駆逐隊(61dg)
駆逐艦 照月(乙型:秋月級)
【警戒隊】
○第四水雷戦隊(4Sd)
駆逐艦 朝雲(朝潮級)
・第二駆逐隊(2dg)
駆逐艦 村雨(白露級)
五月雨(白露級)
夕立(白露級) 大破(自沈)
春雨(白露級)
・第二七駆逐隊(27dg)
駆逐艦 時雨(白露級)
白露(白露級)
夕暮(初春級)
☆第67.4任務群(TG67.4) D.J.キャラガン少将
重巡 CA38 サンフランシスコ(ニュー・オリンズ級) 大破
CA33 ポートランド(ポートランド級) 大破
軽巡 CL51 アトランタ(アトランタ級) 大破(自沈)
CL52 ジュノー(アトランタ級) 大破(撃沈)
CL50 ヘレナ(ブルックリン級) 小破
駆逐艦 DD372 カッシン(マハン級) 沈没
DD459 ラフェイ(ブリストル級) 沈没
DD407 ステレット(ベンハム級) 中破
DD450 オバノン(フレッチャー級) 小破
DD483 アーロン・ワード(ブリストル級) 大破
DD599 バートン(ブリストル級) 沈没
DD436 モンセン(ベンソン級) 大破(爆沈)
DD445 フレッチャー(フレッチャー級)
第三次ソロモン海戦 第2次夜戦
 連合艦隊司令部から再びヘンダーソン飛行場制圧を命じられた近藤中将は、巡洋戦艦「霧島」以下、重巡2隻、軽巡2隻、駆逐艦9隻の艦隊を自ら率いて出撃し、この情報を得た米軍もレーダー射撃の専門家リー少将に新鋭戦艦「ワシントン」「サウスダコダ」と駆逐艦4隻を与えて日本軍艦隊の迎撃に向かわせた。
 両艦隊は、14日夜半にガ島沖で遭遇し交戦を開始した。この海戦は、前半に日本軍が米軍駆逐艦隊を撃破し、新鋭戦艦「サウスダコダ」を大破させて夜戦巧者ぶりを再び発揮したが、リー少将の旗艦「ワシントン」が「霧島」に対してレーダー射撃を浴びせ瞬く間に大破炎上(後に沈没)させると戦局が一気に逆転し、日本軍はヘンダーソン飛行場砲撃を諦め撤退した。
第2次夜戦戦闘序列とその結果
●前進部隊 近藤信竹中将
【射撃隊】
○第四戦隊(4S)
重巡 愛宕(高雄級) 小破
高雄(高雄級) 小破
○第十一戦隊(11S)
戦艦 霧島(金剛級) 大破(沈没)
○第十戦隊(10S)
軽巡 長良(長良級)
駆逐艦 雷(特型:暁級)
五月雨(白露級)
【直衛】
○第四水雷戦隊(4Sd)
駆逐艦 朝雲(朝潮級)
・第十一駆逐隊(11dg)
駆逐艦 白雪(特型:吹雪級)
初雪(特型:吹雪級)
○第六一駆逐隊(61dg)
駆逐艦 照月(乙型:秋月級)
【掃討隊】
○第三水雷戦隊(3Sd)
軽巡 川内(川内級)
・第十九駆逐隊(19dg)
駆逐艦 浦波(特型:吹雪級)
敷波(特型:吹雪級)
綾波(特型:吹雪級) 大破(爆沈)
☆第64任務部隊(TF64) W.A.リー少将
戦艦 BB56 ワシントン(ノース・カロライナ級)
BB57 サウス・ダコタ(サウス・ダコタ級) 大破
駆逐艦 DD416 ウォーク(シムス級) 沈没
DD397 ベンハム(ベンハム級) 大破(沈没)
DD379 プレストン(マハン級) 沈没
DD433 グウィン(ベンソン級) 中破
海戦の結果
 この第三次ソロモン海戦の結果、ガ島周辺の制空権、制海権は完全に米軍のものとなり、ガ島で戦う日本兵に対する補給の手段は、駆逐艦や潜水艦によるネズミ輸送(東京急行)を除き完全に絶たれた。日本軍がガ島から完全撤退を実施するのは、この戦いから3ヶ月足らず後の1943年2月7日のことである。
<制作:EEG 相曽 / 監修:(株)チキンヘッド 南>

ガタルカナル攻防戦 1 金剛型戦艦 2 日本の巡洋艦 3 図解・海軍水雷戦隊 4 連合艦隊 水雷戦隊編 5
書籍紹介
 この第三次ソロモン海戦の全体像を簡単に掴むには「ガタルカナル攻防戦(歴史群像 太平洋戦史シリーズ)」が最適だろう。

 また、日本軍の艦艇に付いては、「金剛型戦艦 (歴史群像 太平洋戦史シリーズ 21)」に、第三次ソロモン海戦において日本軍の主力となった巡洋戦艦金剛型の「比叡」と「霧島」が紹介されており、また、巡洋艦に付いては、「日本の巡洋艦」が詳しい。加えて、第三次ソロモン海戦を含むガタルカナル島攻防戦で猛威を奮った日本軍水雷戦隊に付いては、「図解・海軍水雷戦隊 (コンバットAtoZシリーズ 4) 」「連合艦隊 水雷戦隊編 (世界文化社)」がお勧めである。特に「連合艦隊 水雷戦隊編」は、第三次ソロモン海戦第1次夜戦の海戦運動図までが用意されマニアにも充分参考になる一冊である。

 また、第三次ソロモン海戦に参加した米軍艦艇に興味があるなら、まず「戦艦ワシントン」をお勧めする。また、世界の艦船別冊シリーズの「第2次大戦のアメリカ戦艦 (世界の艦船 第559集)」「アメリカ巡洋艦史 (世界の艦船 第464集)」「アメリカ駆逐艦史 (世界の艦船 第496集)」の3冊を用意すれば、第三次ソロモン海戦に参加した米軍軍艦のほどんどが掲載されている。

これらの書籍を手元に置けば第三次ソロモン海戦の様相や参加艦艇に関する資料が、一通り揃うことになる。ガタルカナル島攻防戦の分水嶺となった大規模夜戦に思いを馳せてもらいたい。


戦艦ワシントン 6 第2次大戦のアメリカ戦艦 7 アメリカ巡洋艦史 8 アメリカ駆逐艦史 9


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