■北欧の小国奮戦ス!■
折しもクリスマスの夜、ソ連軍は豪雪の中立ち往生し、多数の死者を出した。この戦争でもっとも活躍したのは「冬」だったのかもしれない。
ソ連・フィンランド戦争 39-44
米国と並んで第二次世界大戦における連合国の双璧的存在と一般的に思われているソ連だが、実際にはナチス・ドイツとの開戦により連合国側に参加するまでは、エストニア、ラトビア、リトアニア、そしてポーランドと言った近隣諸国を自国防衛のためと称して次々と武力征服するナチス・ドイツと並ぶ欧州秩序の脅威と呼ぶべき危険な国家であったことは余り知られていない。
そのソ連が、新たなる獲物として狙ったのが北欧の小国フィンランドである。
フィンランドは、革命の父レーニンの名を冠した旧都レニングラードや、ソ連にとって数少ない良港ムルマンスクがあるコラ半島に隣接する位置にあり、それらの安全のためソ連にとっては、是非とも支配下に入れたい地域に存在する国家であった。
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| 冬戦争 |
1939年冬11月30日 ソ連軍は、多数の戦車と航空機を先頭にフィンランド領内へ侵攻を開始した。
対するフィンランド軍は、まともな戦車や重爆は持たず、あるのは少数の野砲と航空機、そして装備は悪いが愛国心に燃える勇敢な将兵達のみの劣勢であり、世界からはフィンランドの滅亡は時間の問題であると考えられていた。
しかし、彼らは奇跡を起こした、少数の戦闘機隊が多数のソ連機を次々と叩き落とし、雪原と森林を庭とするスキー歩兵達は、火炎瓶と軽火器だけで重戦車すら撃破したのだ。
この「冬戦争」と呼ばれる奇跡的な抵抗戦の結果、フィンランドは不毛な東北地域の一部を割譲することだけで超軍事大国ソ連の矛を収めさせることに成功した。
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| 継続戦争 |
「冬戦争」の奇跡的な抵抗戦と領土割譲により危機を脱したフィンランドだったが、独ソ両大国に挟まれる位置関係は、フィンランドをそのまま第二次世界大戦に無関係でいることを許してくれるものではなかった。フィンランドは、1941年の独ソ開戦に呼応して、6月25日ドイツの友好国として参戦し、ソ連に分割した領土を奪回する事に成功する。
しかしドイツ軍は、東西両戦線でしだいに劣勢に転じ、1944年夏には、フィンランドも枢軸軍参加国のひとつとしてソ連軍の大侵攻を受けることになってしまった。
再びソ連軍を迎え撃つことになったフィンランド軍は、ドイツからの供与されたBf−109戦闘機や3号突撃砲に加えてソ連から捕獲した多数の兵器で、以前の「冬戦争」とは比べ物にならない程強化されていたが、ソ連軍もドイツ軍との戦いで鍛えられた「冬戦争」当時とは全く別物の親衛軍を中心とする陸空軍の精鋭による大軍を投入してきた。
ソ連軍は、重戦車と航空機の大軍による赤いスチームローラと化し、フィンランド軍将兵による必死の防御線を次々と押し潰して猛進撃し、「冬戦争」時には難攻不落であった東部森林地帯を簡単に突破した。
しかし、この赤いスチームローラを食い止めたのは、またも森林を庭とする歩兵部隊だった。彼らは、ドイツから緊急輸入した携帯対戦車兵器パンツァーファウストとパンツァーシュレックで重戦車を次々と撃破し、ラティ対戦車銃でシュトルモビーク襲撃機すら撃墜する果敢な抵抗戦で、ソ連軍の進撃に立ち塞がり、遂にはその侵攻を頓挫させフィンランド国家の独立存続に成功したのだ。
超大国の勝手な理論により2度も戦いを挑まれ、奇跡的な抵抗戦で最後までソ連の衛星国化を拒み続けたフィンランドは、中立的民主国家として北欧の一角で現在まで歴史の荒波を乗り越えて繁栄し続けている。
<制作:EEG 相曽 / 監修:(株)チキンヘッド 南>
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| 書籍紹介 |
このソ連・フィンランド戦争の全体像を簡単に掴むには、「ポーランド電撃戦 (歴史群像 欧州戦史シリーズ VOL.1) 」が最適だろう。また、一歩踏み込んで詳細の状況までを知りたい場合は、邦書唯一にして最高のソ・フィン戦争書籍として冬戦争を扱う「雪中の奇跡」と続く継続戦争を扱う「流血の夏」を強く推薦する。加えて冬戦争と継続戦争をフィンランド軍総司令官として指揮した、隠れた名将マンネルヘイムの伝記「グスタフ・マンネルヘイム」は、ひとりの偉大な名将の数奇な運命の物語としても大変楽しめるものである。
加えて撃墜王を多数輩出したフィンランド空軍の活躍に付いてなら「フィンランド空軍戦闘機隊」と「第二次大戦のフィンランド空軍エース (世界の戦闘機エース 4)」、そしてソ連側航空機も含んだ「フィンランド上空の戦闘機」のフィンランド航空戦3部作が詳しく扱っている。
また、冬戦争当時のフィンランド空軍主力戦闘機B239バッファローに付いては、「透視図探検・祖国の運命を担った13の戦闘機 (別冊 航空情報)」が、現在邦書として最良の内容で紹介している。
対するソ連軍に付いては、陸上戦力に付いてなら第二次世界大戦のソ連軍戦車隊を解説する「図解・ソ連戦車軍団 (コンバットAtoZシリーズ 6)」が入門書ながら内容が濃くてお勧めである。また、「第2次大戦 ソ連軍用機写真集」にも当時のソ連軍が使用した航空機の多くが掲載されている。
また、日本では資料の少ないソ・フィン戦争だが、海外ではそれなりの数が出版されている。その中でも比較的参考にしやすいのが大戦中のフィンランド空軍を紹介する「Finnish Air Force 1939-1945」と過去から現代までにフィンランド陸軍が使用したAFVを紹介する「SUOMALAISET PANSSARIVAUNUT 1918-1997」の2冊だろう。
ここで紹介した邦書を全て入手すれば、古書を除く現在日本で入手可能なソ・フィン戦争関係書籍の大半を揃えたことになる。
- 「ポーランド電撃戦 (歴史群像 欧州戦史シリーズ VOL.1) 」(学習研究社)\1,600
- 「雪中の奇跡」(大日本絵画)\2,800
- 「流血の夏」(大日本絵画)\3,800
- 「グスタフ・マンネルヘイム」(荒地出版社)
- 「フィンランド空軍戦闘機隊」(大日本絵画) \3,500
- 「第二次大戦のフィンランド空軍エース (世界の戦闘機エース 4)」(大日本絵画)\1,800
- 「フィンランド上空の戦闘機」(大日本絵画)\2,800
- 「透視図探検・祖国の運命を担った13の戦闘機 (別冊 航空情報)」(酣燈社)\2,095
- 「図解・ソ連戦車軍団 (コンバットAtoZシリーズ 6)」(並木書房)\2,000
- 「第2次大戦 ソ連軍用機写真集」(デルタ出版)\2,238
- 「Finnish Air Force 1939-1945」(Squadron/Signal Publications)
- 「SUOMALAISET PANSSARIVAUNUT 1918-1997」(APALY OY) \10,600
(価格は税抜き表示です。)
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